放射線量の簡易計算機

 

預託実効線量の計算 ※これが一番重要な数値  /  0.001mSv = 1μSv
核種: Bq摂取した場合の預託実効線量  

  食べた場合 → 約 ??? mSv (これを1年かけて浴びたとみなす/2年目以降は0mSv)
吸い込んだ場合 → 約 ??? mSv (同上)

※Bqは1日分ではなく総量です。たとえば1日10Bqが1週間つづいたら70Bqで計算します。
※計算式と実効線量係数はこちらより拝借。化合物が複数ある物質は一番高い数値を使用しています。
※「市場希釈係数」「調理等による減少補正」は1以下になると思われますが、最大の1と見積もって計算しています。

(計算例)現在食品の基準値はセシウムで100Bq/kg。仮に1日に1kg食料を摂り続けると年間で36500Bq。これは0.4745mSv相当
体内に蓄積するBq値の計算
生物学的半減期が 日の放射性物質を
毎日 Bq 摂取し続けた場合の体内蓄積の収束値  

→ 約 ??? Bq

(デフォルト数値は、セシウムの生物学的半減期 = 100 日を毎日 1Bq 摂取した場合という例にしてあります)
(正確にはセシウム137とセシウム134の生物学的半減期はそれぞれ70日と100-200日。これを100日と近似して計算)
※注:物理学的半減期(セシウム137なら約30年)のことではありません (物理学的半減期は無視=減らないとして計算)

半減期(物理学的半減期)の計算
半減期が 日の放射性物質の 日後の残存割合  

→ 約 ??? %

(デフォルト値は半減期約2年(730日) のセシウム134の 1年(365日)後の残存割合。→3割が崩壊済みの計算)

Cs134は崩壊時に、100%の確率で0.327MeVのβ線を放出。半減期は730日。
Cs137は崩壊時に、94.6%の確率で0.512MeVのβ線と0.661MeVのγ線を、5.4%の確率で1.174MeVのβ線を放出。半減期は30.1年。
K40は崩壊時に、89.28%の確率で1.311MeVのβ線を、10.72%の確率で1.505MeVのγ線を放出する。半減期は1.248×10^9年)

(メモ)
■ Bqという単位について
Bq(ベクレル)とは、1秒間に崩壊する放射性物質の個数を表す単位のこと。
崩壊した放射性物質は放射線を1回出すので、例えば15Bqとは1秒間に15個の崩壊がおこり15回放射線が出るという意味。

カリウム40が放出するβ線は1.311MeV/Bqであるから、セシウム137の出すβ線(0.512MeV/Bq)よりも2.6倍強い。
ゆえに同じベクレル数であればカリウム40の方が有害のように一見思える。
しかし実効線量では、セシウム137が1.3x10^(-5)Sv/Bq、カリウム40は6.2x10^(-6)Sv/Bqで、セシウムの方が2倍大きい。

この例でもわかるように、ベクレル値は放射線の最終的な影響力を表すものではない
ベクレル値にeVおよびαβγ線の係数、細胞の感受性その他の補正を加え、実際に受ける悪影響に換算した単位がSv(シーベルト)である。 ゆえに被曝による実害を考える場合はBqではなく、このSvを目安にするべきである。

カリウムは神経伝達に不可欠な元素。神経は脳はもちろん全身のあらゆるところに存在する。
※カリウム40はカリウムに0.0117%含まれる。それによって我々は常に4000Bq程度のβ線を全身に浴びているといわれる。
※カリウム40の生物学的半減期は30日。そこから計算すると、我々は毎日約93Bqを摂取、実効線量で年間約0.21046mSvの被曝。

■ 核種と放射線(自然放射線と人工放射線問題)
「カリウム40は自然放射線だから安全、セシウムは人工放射線だから危険」ということはない。β線はβ線。
「カリウムは全体に広がるのに対し、セシウムは特定部位に溜まるから放射線が集中して危険」というのも、「特定部位に溜まる」というのが事実ならば発想としては正しいが、いずれにしても実効線量はそれらの要素も考慮して算出しているようで、実効線量のSvの大きさをそのまま受け取ればよいようだ。

■ 放射線が物質(人体)に当たると何が起こる?
→ 超常現象が起こってDNAが破壊されるわけではない。
→ 放射線の影響とは、それが当たった分子(原子)にエネルギーを与えることによって生じる。
→ 放射線のエネルギーが、当たった分子(原子)の軌道電子にエネルギー(元気)を与え、電子が電離する(飛び出す)。
                             (ビリヤードをイメージする。当たった球(電子)がはじき飛ばされる)
→ その結果、共有結合が切れたり、イオン化したりする。(接着剤役の電子が居なくなるため)
→ (1)細胞やDNAは分子のかたまり。放射線があたると分子の結合が切れる。(ただDNAは細胞の中心部(細胞核)に
  あり、細胞外で発生したαβ線が細胞核まで直接届く確率は割と低い。大抵は周囲の水分子に当たって止まる)
→ (2)身体の7割を占める水(H2O)に当たると、水分子がHとOHにわかれたりする。 参考:水に放射線を当てると
→ その物質は活性酸素(ラジカル)と呼ばれ、酸化還元反応を起こすという特徴をもつ。
  それが細菌に取り付けば細菌を殺すが、細胞に取り付けば細胞を傷つける。

つまり、放射線の人体への影響とは、
 (1)放射線が細胞の分子に当ってその電子を電離させ化学結合を切ること(1次的影響/直接的影響)
 (2)放射線が水分子に当たることで生ずる活性酸素が細胞を傷つけること(2次的影響/間接的影響)

ゆえに放射線のDNAへの影響とは、
 (1)放射線が細胞核のDNAに命中してその化学結合を切って破壊すること(1次的影響/直接的影響)
 (2)放射線がDNAの近くにある水分子に当たりその活性酸素がDNAを傷つけること(2次的影響/間接的影響)

尚、「放射能とDNA損傷」のデータによると直接よりも間接的影響の方が大きい。(直接:間接=1:3)

※これは、DNAの損傷が生じた場合の原因割合であって、人体に当たった放射線のすべてがDNAを傷つけるという意味ではない。
※DNA直接損傷と、細胞内水分子の活性酸素化による間接的DNA損傷の割合であって、細胞外に生じた活性酸素の話ではない。

メモ:
放射線が細胞に影響を及ぼす仕組み

◆ ちゃんと教科書で勉強したい人 (おまけ)
高校の物理の教科書 → ボーアの原子模型、放射線の仕組み
高校の化学の教科書 → 周期表、化学結合、酸化還元反応

あたりを見ておくと上で説明していることがもっとよくわかるようになると思います。

◆ 放射線と電磁波との違い (おまけ)
→ ぶつかった原子や分子の軌道電子にエネルギーを与えて物質を変化させるという意味では同じ
→ ただし電離ではなく励起(ちょっと興奮した状態=家出はしない)にとどまる。(下の「電離と励起」を参照)
→ 励起した電子は、エネルギーを放出して元の軌道に戻る。このときに出すエネルギーがX線
→ X線とγ線は発生の仕方が違うだけで一緒のもの。ただし強度(eV)はX線の方が小さい。

メモ:
電離と励起(PDF注意)
電離放射線非電離放射線
電磁波で人体に受けた影響をシーベルトであらわすことってできますか?